フランケン地方のワイン

フランケンへの旅はフランクフルトからマイン川を遡る様にしてたどります。
途中からタウパー川が分岐してこの川の流域も基本的にはフランケンワインですが、
地域的にバーデンだったりヴェルテンベルクだったりしますがここでは同じ地方として捉えて行きます。
フランケンとはフランク人の土地という意味で昔はこの地方が一大ワイン産地だったようですが、
次第にブドウ栽培に適していない土地は他の作物に取って代わられて現在はそれほど多くの耕作面積は有りません。
(この地域は元々バイエルン王国の領土でそれほど肥沃な土地柄では有りません。)
一般的にはこの地方のワインは通常の瓶と違って丸く膨らんだボックスボイテルと呼ばれる瓶に入っています。
これは昔は山羊の膀胱を使って詰められていたためと言われています。(昔は1.22L入りの袋でした)

この地方は3つの大きな地域に分けられます。
一つ目はマイン−フィアエック(マインの四つ角)・二つ目はマイン−ドライエック(マインの三角)・三つ目はシュタイガーヴァルト
最も良い物を産出しているのはドライエックに集中しています。
途中から分かれるタウバー川はタウバーフランケンとして区別します。この地域にはロマンチック街道の宝石ローテンブルクも含みます。

まず最初の出発点はフランクフルトからですが、余り知られてはいませんが、フランクフルト郊外にはブドウ畑が少し有り
市営の醸造所も有り知っている人はここでのワインを楽しむことが出来ます。
(郊外の市営醸造所で飲めます・但し地域的にはラインガウになります。マインツも市営醸造所が有ります)

フランケンワインのブドウ品種の多様性
フランケン地方の特徴としてはぶどう品種の多様性があり土壌特性もかなりの変化を見るためその土地に適した品種を
植えている場合が多いです。基本的にこの地域ではドイツ伝統のリースリングが主力ではなく、ジルバァーナ圧倒的な
個性
を放っています。土壌も貝殻石灰質で基本的に相性が良いと思います。
その他には一部地域のバッフス・リースラーナー・ショイレーベ相当個性的で品種の特性が良く生かされていると思います。
また僅かですが、赤の生産が有り完全な辛口にしない作り方の方が果実味を感じて良い様に思うときが多いです。
カステル侯爵家がこの様な作り方をしているときがあります。
シュペートブルクンダーよりもポルトキーザーレンベルガーに個性的な物を見つける時が有ります。
ですのでこの地域は品種限定で飲まない事が全体像の把握に繋がる印象を強く受けます。

フランケン・フィアエックは残念ながらあまり手に入らず少ししか飲んだことが有りません。


フランケンワイン協同組合

フランケン地域全体に組合員がおり、出ているワインも非常にたくさんあります。
総じて安価ですが、品質は非常に良い物が多く地元のおみやげ屋でよく売られています。
(この組合の事務所はキッチンゲンに有りますが販売リストを見ると日常酒が非常に多い)
またブドウ品種も非常に多く特徴がよく現れている物が多いと感じます。
ラベルには特記されていませんがほぼ100%近くが辛口ですが、辛口以外はラベルに書かれているかシールで区別します。
ドイッチェスワインジーゲル=ある一定以上の評価が有るワインに付けられる 黄色=辛口・緑=中辛口・赤=甘口)
評価法は5点満点中2.5点以上でこれはQbA以上のワインの検査通過基準と同じ

左 キッツィンガー・ホーフラート カビネット ハルプトロッケンで試飲したときに果実味が実に良くバランスが取れていた。
右 ヒルシュハイマー・タンネンベルグ シュペトレーゼ トロッケン これもバッフスのマスカット香とミネラル香の複雑な感じが良かった。

この組合のラベルは作られた土地の風景をラベルにしているという特徴が有ります。
昔のラベルはもう少し強い色調の物でした。

イプホーフェナー・クローンスベルグ シュペトレーゼ
この組合の中の物では最高位に近い物でコクと強さを兼ね備えています。畑自体も一級畑
描かれている風景はレーテルゼーア門でイプホーフェン市城の入り口(この地方は城塞都市が多い) 

この醸造組合は僅かですが、TBA・BA・EISに挑戦している年が有ります。


ハンメルブルグ 市営醸造所 (シュロス ザーレック醸造所)

マイン・ドライエックの一番北部でマイン川支流沿いにあります。郊外の山の頂付近の日当たりの良い場所がブドウ畑で
少し痩せている感じがしますが、品質は保証されています。
この市営醸造所は価格が安い割に酒質が安定しているので常飲酒として良い部類に入ると思います。

これは新しいラベルで以前の物はもっとクラシカルな雰囲気のラベルでした。
今は裏に副ラベルを貼ることに拠って前面に見える部分をシンプルにしようという試みがなされています。
これは表示義務が有るためでそれを全部前のラベルの表示すると文字ばかりで解りづらいという意見から来ています。


ユリウス・シュピタール醸造所

フランケン地域でも随一のワインを産出する醸造所で本体は慈善協会でありワインの収益で病院と養老院をまかなっています。
現在は財団ですが、一番最初はこの地域の大司教 ユリウス・エヒター・フォン・メスペルブルンにより始められました。
時に1576年から脈々と続けられてています。(瓶の肩口の飾りに1576年とあります)
ドイツワインとしても最高峰の位置にあると考えられておりヴェルツブルガー・シュタインはドイツ辛口ワインの代表恪です。
この他にも銘醸品を数多く産出しておりこのワインを飲まずしてフランケンワインは語れません。
ヴェルツブルク市の中心に施療院があり中庭のワインシュトゥーベ(レストラン)はぜひ共お勧め致します。
知っている人で有れば地下のワイン庫で食事が出来、秘蔵ワインのグラス売りをしているときが有ります。
フランケンでは珍しい赤ワインやアイスワイン等の特上品も有ります。

このラベルも新しいラベルですが、基本デザインは変更されていません。
この醸造所ともう一つの醸造所は瓶は肩の部分に刻印が有りすぐに見分けが付きます。
(ユリウスは緑色の瓶・ビュルガーシュピタールは茶色の瓶)

これは余り出回る事が無いベーレンアウスレーゼの1/2ボトルでものすごい果実味の上にアルコール度の高さからとんでもないブドウから
作られた事が解ります。瓶の黒い物体はワインシュタインで入手した96年当時ですでにものすごい量が出ていました。
当家に於いてわいん会をしたときのデザートとしてお出ししました。
ちなみに通常品はキャップシールが黒でシュペトレーゼの特別品のみが桃色封、(中身はアウスレーゼ級のブドウを使用)
アウスレーゼ以上が白封という具合になっていました。
シュペトレーゼまでが辛口、アウスレーゼ以上として出す場合は甘口が通常になっています。

当方の秘蔵ワインとしてヴェルツブルガー・シュタインのジルヴァーナーアイスワインのフルボトルが1本有り熟成を続けています。


ビュルガーシュピタール醸造所
(ハイリゲン・ガイスト市民施療院醸造所)

こちらも同じ施療院ですが、ドイツ最古の施療院主体の醸造所です。
1319年の設立でこの後少ししてからドイツ各地方に同じ様な施療院が出来ておりこの様な醸造所として他に
モーゼルのトリアー慈善協会が有ります。ここのワインも長熟でクラシカルなタイプです。

このアプツライテの畑はヴェルツブルグの郊外の南面側に広がる畑です。
マインの川面から受ける光とほどよい傾斜の好条件が重なっています。

施療院について
はるか昔中世の時代は庶民にとっては暗黒の時代でした。
領主と教会の二重の搾取で満足に生活する事が難しく戦争やフェーデ(決闘)に拠って農地は始終荒らされても
貴族等の領主には文句が言えない頃でこのまま放っておくと年貢も徴収出来なくなるため教会と富裕市民が主体となって
自分の地域や職域の領民や徒弟に対して有る程度の施しをするようになったのが始まりです。
(当時農民一揆も多発していて有名なものに1530年代に農民戦争というのが有るくらいです)
大体の施療院は1300年〜1400年頃に出来ています。ヴェルツブルグの場合はここが大司教が直轄領主だったことで
早くに富裕層からの動きが有った物をユリウス・エヒターが実行して定着しているという事情が有ると思います。
ブルゴーニュ王国ではそれ以前からオスピス・ド・ボーヌが出来ていてそのシステムをそのまま使っています。
(富裕層からブドウ畑の寄進を受けて施療院がワインを醸造してそのワインはまた富裕層が買うというシステム)
これはシトー派の修道僧がもたらした物でシトー派の中心は当時も今もブルゴーニュに有ります。
この他にもシトー派修道僧はドイツ南部にピノノワール種を伝えています。

カステル侯爵家

主にシュタイガーヴァルトに畑を持ち1205年には伯爵としての記録が残っており現在の住所もカステル村の中心の城館が
醸造所になっている。私が初めて飲んだ89年は重厚クラシカルタイプでしたがここ数年でスタイルを変えつつあり少し軽くなった気がします。
値段もこの醸造所はそれなりにしており私個人としてはここ数年は買っていません。

今回は貯蔵しているワインが取り出す事が難しいため画像が有りません。
いずれも80年後半〜90年代が主力です。


ハンスヴィリシング家

フランケン地域で民間としては最大の耕作面積を持ち約85ha程あります。(施療院は公立的な部分が多いので)
ワインの銘柄もたくさんあり、常飲用の安いものから高級品までラインアップされており有る程度の選別が必要ですが、
値段の割に良質な物が有るので見逃すにはもったいない醸造所です。

銘醸畑もかなり所有しておりそれらが安価で提供された時には必ず買っている蔵の一つです。
画像は99年のイプホーフェナー・クローンスベルク カビネット でこれはかなりお買い得でした。(2001年当時)


タウバーフランケン地区

エルンスト・ゲーブハート家

マイン川の支流のタウパー川でゾンマーハウゼン村にこの醸造所が有ります。
(醸造所の向かいが直営ワインシュテューペ)
ロマンティック街道が通るこの町を中心にしてタウバー渓谷の良い場所を中心にして畑が有り急傾斜地が多い。
ここを知ったのは新婚旅行でローテンブルクに行ったときにこの醸造所のアウスレーゼ(ショイレーベ)とアイスワインが有り
その他も含めて12本(1ケース)を買って日本に帰ってから飲んでびっくりしてしまいました。
(もっと現地で飲んでおくべきだった、車で廻っていたので二日酔いをしないように制限していました)
現地で飲んだのはアイゼンフートというホテルのレストランで飲んだ1本だけでこれもとても良かったのです。
(バッフスのハルプトロッケンでした・これにローストビーフ等を組み合わせて夕食にしました)
後で調べるとショイレーベが特によいと有り買って間違いは無かったと思っています。今もこの買った物の一部はまだあります。

今回は貯蔵しているワインが取り出す事が難しいため画像が有りません。

この醸造所の物は日本では簡単に入手しにくいワインでごく一部の業者が非常に高い値段を付けて売っていますが、
その値段まで出して買う気にはなれないため(通常の物の3倍程度で現地価格の8〜10倍)以降は入手していません。
ですがこういう良いフランケンワインが有るという意味に於いては一回だけは飲んで損はしないと思います。
(フランケンは通常辛口しかないがここの中辛口や甘口は非常によい)


フランケン地方の銘醸畑名
ヴェルツブルガー・シュタイン(これが多分この地域で一番良い)
ヴェルツブルガー・プファッエェンベルグ(マイン川のヴェルツブルグ大司教館の城壁の前)
ヴェルツブルガー・アブツライテ
ヴェルツブルガー・インネレライステ
ヴェルツブルガー・シュタインハルフェ
イプホーフェナー・ユリウスエヒターベルグ
(ここが多分2番目です)
イプホーフェナー・クローンスベルグ
カステラー・バウシュ
ランダースアッカーラー・プルヒェン
(ここはジルヴァーナー以外の品種が良い)
エッシェンドルファー・ルンプ

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