ラインガウ地域

ラインガウは非常に狭い地域ながら銘醸畑が大変多く、
高価・高品質なワインを作り出す地域でドイツワインの中核地域です。

このページでは醸造所ごとに紹介していきます。

更新日 平成29年3月20日 



クロスター・エーバーバッハ 州立醸造所

ラインガウだけでなくドイツワインの中心とも言える醸造所
特にシュタインベルガーは絶対にはずせない畑でここの単独所有。

特にマウアーワイン(石垣の壁で栽培している)は
フルーティーさとアルコールの質の高さ・酸味とのバランス
は絶妙の一言に尽きます。その他にも特級畑を数多く所有しています。

所有している主な畑と特徴

シュタインベルガー 
   エーバーバッハ修道院に行くまでの道で標高の高い畑ですが
石の壁の囲まれた畑でこの畑のブドウがあまりに傑出しているために盗難を防ぐ目的で石壁が作られたが
これは輻射熱を囲う事にもなり石壁にもブドウを植えている。
このブドウのみは特別に作られるもので貴重な1本となる。(マウアーワイン)
銘醸畑は川から近い所が多いのですが、ここはかなり山の方になっています。 

ラウエンターラー・バイケン
ここの畑は前述のシュタインベルガーよりはワイン自体に深みや重たさを感じるが非常に長命な1本となる。
アウスレーゼ級は熟成に約30年以上を要する年のものも有る。
(82・83は2016年現在でもまだ若い)

エルバッハー・マルコブルン
私的にはシュタインベルガーよりも優れていると思います。
シュタインベルガーよりも果実味が強く、酸は重めですが糖度が上がってもこの特徴は失われず逆に強調されています。
ここのBA・TBAを持っていますが試飲段階で信じられないくらいものすごいものでした。(83年BA)

アスマンスホイザー・ヘレンベルグ

主にシュペートブルグンダー(ピノ・ノワールのドイツ名)を産出しますがドイツ的なエレガントさを持っているワインで
ドイツの赤ワインの作り方が一番出ていると思います。栽培方法もドイツ独自で赤ワインでアイスワインも有ります。
少量ですがヴァイスヘルプストも有ります。

現在はこの様な形態で販売されています。
(ブルゴーニュ式の瓶になっています)

1989年シュタインベルガーを開封!

15年の時を経て開封しました。当家で約10年寝かせていたので1ヶ月前に瓶を立たせて
飲む3日前に抜栓とデカンティング
を行い少しずつ変化を見ながら19日のワイン会に飲みました。

89年シュタインベルガー・シュペートレーゼ H18・11・19

この年は葡萄の出来が突出して良くアルコール度も10.5%といつもより高め、味わいは酸味の出方といい香りの深さといい
正に昔の伝統的な作り方で出来たシュペートレーゼです。色は黄色味の強い黄金色になっていて熟成感も有りますが、
全体的にはまだ熟成の途中と言った感じでまだ若さ十分と言ったところでしょうか。
今販売されているシュタインベルガー・シュペートレーゼとは全然違った味わいなのでもしどこかで見つけられる事が
出来るのならば2001年あたりのものと飲み比べをしてもよいのではと思います。


シュロス・ヨハニスベルグ醸造所

この醸造所は歴史がとても古くドイツ最古のワインがここにあります。
所有者はメッテルニッヒ侯爵家でウィーン会議の成功報酬として当時のプロイセン皇帝より下賜されたもの。
シュペトレーゼ(遅摘み収穫)が発見されて初めて醸造したところでも有ります。
ここでは他の醸造所の委託生産もあり有名な所ではG・H・ムムのワインもここで作られています。

シュロス・ヨハニスベルグ
丘の上に有るヨハニスベルグ城の南側急斜面に有る畑、数々のワイン醸造の歴史の上で必ず登場します。
ここのワインも非常に長命ワインで特にリースリングの酸の洗練さは特級品。
アルコールを高い目に仕上げて甘みをかなり抑えてはいるが果実感は実に心地よい1本

ホーホハイマー・ヘレ

この畑はヨハニスベルグとGH・ムム両方とも所有していて味筋から判断して隣りどおしではないかと思います。
GHムムのものは重厚な感じがします。


ゲオルク・ブロイヤー醸造所

400年以上続いている醸造所ですが、80年代より急速に名声を上げている新進気鋭のワイングート
本拠地はつぐみ横町でおなじみのリューデスハイム、つぐみ横町のシュロスというガストホーフは一族の経営

来日された時の故ブロイヤー氏

ゲオルクブロイヤー醸造所のホームページ

この醸造所のワインは現在熟成中のためラベル写真は有りませんが、
何本か試飲させて頂いた感想としては(90年のベルク・シュロスベルク・カルタワイン・非売品・試飲01年)
非常にクリーンな感じで熟成させたものはその上に重厚感が出てきますが、
元のブドウの酸度が高いためにリースリングとしての果実味が良い状態で出てきます。
熟成はやや遅めの初期は非常に固いしまった感じがします。

リューデスハイマー・ベルグ ロットラント
リューデスハイムから船着き場の下流に向けて帯状に広がる畑ですが、少し丘地の部分でリフトが畑を横切っている。
リューデスハイムはどちらかと言うと酸とミネラルの強い地域だが、この畑は果実味が豊かで甘口仕立てが心地よい。

リューデスハイマー・ベルグ シュロスベルグ
ライン川下りで有名なねずみの塔の対岸にある廃城の直下に有る畑で細長いが全部が30度前後の急斜面
ここのワインは酸味が鋭く若いうちはザールワイン並の鋭さを持っているが経年すると丸みが果実味とマッチする。
甘口よりは辛口仕立てでカルタワインは出色の出来。


シュロス・フォルラーツ醸造所

ラインガウでは現存でドイツ最古の石造り建造物といわれる建物が有りますがこの醸造所がレストランとして経営しています。
ワインはカビネットクラスではアルコール度を高く取り非常にさっぱりとしたワイン造りですが
シュペートレーゼでは昔ながらの重厚なワインになります。
またアウスレーゼ以上は特に出来の良い年だけ造られますが貴腐ブドウを使用しない
健全果のみで糖度を130エスクレ以上としているので実質的なベーレンアウスレーゼのクリーンな物を造っている感じです。
この醸造所はレーベンシュタイン公爵家所有の畑も管理を任されており実質的に同じワインと言えます。

89年フュルスト・ レーベンシュタイン公爵家 アウスレーゼ 金線入り白封
これ以降は95・99・01・05年にだけ造られている 

金線入りアウスレーゼ(ゴルトカプセル) 白+金封 シュペトレーゼ 桃色封  カビネット  青封


ロバートヴァイル醸造所

この醸造所も歴史は古いのですが、サントリーが経営権を握って初めて日本に入ってきたワインです。
初入荷の分を2017年になって開封しています。
(初めて入れたのは上級ワインのみで通常で飲める価格帯の物は最初は無かった)
ここはキートリッヒに主な畑が有り、グレーフェンベルグとヴァッサーロースが主力になっており、シュロスフォルラーツと隣の区画も有ったりして
非常に高品質な物を出してくれます。シュロスフォルラーツ程の骨格感は有りませんがこちらは果実味を良く感じる醸造所です。
近年はサントリーが経営権を家族側に戻して独自に展開してラベルも違った物に変えています。

89年 キートリッヒャー・ヴァッサーロース アイスワイン


ジンメルン男爵家
フライヘア・ラングフェルト・フォン・ジンメルン

非常に古い歴史を持っている醸造所で約90ヘクタールの畑を所有しています。
この醸造所の中心となる畑はエルバッハー村のマルコブルンで最良部分を今でも持ち続けています。
マルコブルンはラインガウで1・2を争う超が3つ程も付く銘醸畑で寿命がとんでもないほど長いワインを脈々と造っております。
80年代後半から評価か余り高い物が無くなりつつ有りますがそれは一般販売用のワインに限っていて、
昔のカビネットワインと呼ばれる秘蔵酒は完全に別物で昔の評価と同じレベルです。

エルバッヒャー・マルコブルン 89年 SPT
これはノーマル品です。副ラベルに525年続いているという表記があります。

ラウエンターラー・バイケン 99年 青封 アウスレーゼ
1970年以前のアウスレーゼ−カビネットに相当します
これは500ミリリットルの瓶に詰められているもので健全果で138エスクレ以上のものにしか付けられません。
貴腐ブドウでないものでこれだけの糖度が有るのはとても珍しいといえます。

ラウエンターラー・バイケン
この畑の特徴はなんと言ってもどっしりと構えた重い酸です。これに果実味が加わるととんでもないワインになります。
年に拠ってはシュタインベルガーが軽く思えるくらいの出来で値段的にもクラスが上がればこちらの方が高い場合が有ります。


シュロス・シェーンボーン

この醸造所もかなり古く1600年代には記録に出てきます。
所有している畑の超一流が多く独占畑も有ります。
この醸造所の特徴は切れの有る酸とアルコールの芯がしっかりしていて長熟品がとても多いこと。
ラインガウではトップ3番手あたりを争っていて平均よりもかなり高めのレベルのワインを出してくれます。

89年ハッテンハイマー・プファッフェンベルク カビネット(単独所有畑)とカビネットワイン(単独畑でない辛口のもの)

ハッテンハイマー・プファッフェンベルク(単独所有畑)
ハッテンハイム駅の手前1キロの鉄道線のすぐ左側に広がる単独所有の畑でここにハッテンハイム城と醸造所が有ります。
広さはここだけでも約6ヘクタールあります。

89年 プファッフェンベルグ カビネットの感想 H25/1/1
25年という事も有り状態をチェックするために1本久しぶりに開栓しました。
熟成度はバッチリで少しオレンジ色に近くなってきました。
これも12月初めに寝かせた状態から立たせておき12/30日昼に抜栓してデカンタージュしています。
31日の朝の段階で少しグラスに移してテイスティングしました。
1〜2分ほどでワインが開き始めました。これはこのワインがトップ状態に有りもう
後2〜3年経つと枯れ味が少しずつ出るというサインです。
全部で20ケース買ったワインもあと1ケースを残すのみで最後まで観たいワインの一つです。

ブレンターノ男爵家

ブレンターノ家自体はフランクフルトの有力市民から貴族になったのですが、農園は別荘地として古い時代に買っていた土地です。
買ったときにはブドウ畑と醸造設備・ケラーマイスターも一緒だったそうです。
ゲーテもここの別荘には良く来ていて普通にこのワインを飲んだことから「ゲーテワイン」とも呼ばれています。
(ゲーテ自身はフランクフルト市長の息子で家族が議員でも有り爵位も貰っている)

ヴィンケラー・ハーゼンシュプルンク
ハーゼンシュプルンクはウサギ跳びの意味ですが、名前の出所は諸説有ります。
特徴は酸っぱいと思えるくらいの酸が特徴でアルコールがしっかりしているため最初はかなり固い感触が有りますが、
クラシカル+長熟傾向を持っているため約20年ほど寝かせてから飲むのが良いと思えます。
ハーゼンシュプルンクのもう一つの大きな所有者は現在シュロス・シェンボーンでこれはエルツ伯爵家が
ワイン造りを辞めた際に買い受けた物で90年からシェンボーンとして出ています。
シェンボーンの物はブレンターノに比べて酸の落ち着きがあり骨格はこちらの方が太く感じます。

現在このワインは一般販売はほぼ無く ピーロート・ジャパン という会社が独占販売しており、かなりの高価販売をしています。


ラインハルツハウゼン(プリンツ・フォン・プロイセン)

ここは数年前にワイン造りを辞めてしまい現在はホテルだけが残っていましたが、これも売却されてしまいました。
当方にこの醸造所ワインは90年代前半の物と98年のマルゴブルンが数十本有るのみです。
このワイングートで有名だったのはライン川の中州で栽培されたシャルドネ種から作られたゼクト
ドイツで始めてシャルドネ種で作られた物と言われています。
またここも畑名に替えて醸造所名で出せる特例醸造所でした。
味筋は非常にクリーンでシャープな印象が有り、前述のゲオルクブロイヤーのワインをさらに濃く、強くなっている感覚です。


今回は10年前に買っておいたQbAを久しぶりに空けてみました。しっかりとした熟成感が出ておりさすがと思う物が有ります。
ワインの色調もいわゆる黄金色で果実味あふれる正調ラインガウを感じさせてくれました。
また5年後くらいに空けてみようと思います。

ラインハルツハウゼンの歴史(プロイセン皇帝・ホーレンツォルレン家)

ホテルの案内書にも出てきますがここは元狩猟用の迎賓館的な館でした。
プロイセン皇帝のヴィルヘルム一世の息子と結婚したマリアンヌがこの館を引き継ぎその息子のヴラウンシュヴァイク公
の長男が相続してこの長男が最後のプロイセン皇太子となったためにプロイセン皇太子家としてワインラベルに出てきます。
その後第一次大戦で皇帝と皇太子は亡命したため廃太子となりましたが一族はこの館をホテルとして開放して現在に至ります。
館の中にはマリアンヌが使っていた物や肖像画多数が残されており当時の王族の栄華を見ることが出来ます。
90年代後半に少しずつワイン造りを縮小していき最終的には止めてしまいました。
ホーレンツォルレン家自体は現在も存続しており次男が相続して王族外交の一端を担っています。

フープフェルト家
(ヨアヒム・フリック家

1845年、英国ヴィクトリア女王と夫のアルベルト公がホ−ホハイムを訪問した時に畑へ案内したところ、女王は大変感動されました。
1850年、女王の名にちなんで畑を「ケーニギン・ヴィクトリアベルク」と名づける許可を得ました。
ラベルの絵はその記念碑が描かれています。またラベルの上の家紋はイギリス王家の家紋です。
近年までフープフェルト家名でラベルが作られていましたが、現在の当主ヨアヒム・フリックが自分の名前で出荷するようになっています。
基本デザインは19世紀以来同じデザインを保っています。

この画像は2013年カビネットで醸造所名はフリックとなっていますが、戦後からはこの一族の経営なのですが、以前はフープフェルト家醸造所として出していました。
一番早く2013年を入手出来たドイツワインですが、この年のワインの出来は大変良く次に来るこの年のワインを楽しみに待っている状態です。

ドイツワインの事をイギリスではHOCK(ホック)と呼んでいました。
これは18世紀の時点でかなり定着していて当時ワインは主に輸出用でした。
このホックの語源はこの村名ホーホハイムが元になっていて、リーププララウミルヒ
と並んで高級ワインの代名詞となっていました。

ホーホハイムが大体ですが銘醸畑の東側の端に当たります。(地域としてはラインガウですが畑はマイン川に面している)
この東側はさらにぶどう畑が有りフランクフルトの郊外まで続いています。フランクフルト市も直営の醸造所を持っていて観光客で賑わいます。
このあたりまで来ると単独の畑銘で出ることが少なくなり、主にゼクト(発泡酒)の主原料となったりもしています。
他に銘醸畑としてはホーホハイマー・ヘレがありこれはビクトリアベルクの少し上の山の手に有ります。


ラインガウの醸造所は貴族の元領地でブドウ栽培とワイン造りをしていたのがそのまま続いています。

貴族階級かどうかは名前に必ずフォンが付いてくるのが通例です。(ユンカーも同じ)
ちなみに 子爵(騎士)はリッター、男爵はフライヘア・伯爵はグラーフ という風になっています。(騎士階級の上位者もリッターです) 
ラインガウの場合はプロイセン帝国から貰っている爵位が多いようです。
その他の地域では神聖ローマ帝国・バイエルン王国の他にオーストリアやハンガリーの爵位も有ります。
現在は名誉呼称なので実効性は有りませんが、家名=町の名称になっている場合が多いです。
(ドイツ北部のシュベーリンという町は元伯爵の領地でドイツ軍の将軍を多く輩出しています・プロイセン皇帝・ヴィステルスバッハ家は家系的にはシュベーリン家)
(メッテルニッヒ侯爵家・シュロスヨハニスベルグの所有者で
ナポレオン追放後のウィーン会議の成功報酬としてプロイセン帝国より贈られたオーストリアハンガリー帝国の宰相)

この地域のワインの価格帯
このラインガウはドイツの中では小さい地域ですが、価格に関しては一番高い地域と言えます。
但しラインガウを飲まずしてドイツワインを語る無かれと言われるくらいの主軸なのでここを外してしまっては本線を辿れない
ので出来れば良い醸造所の物を一回でもいいから飲まれた方が良いと断言致します。
初心者はシュタインベルガーをお勧めします。価格的にはKabが5000円位でSptが8000円〜位でかなり高いです。
有る程度の酸の重たさや果実味を求めるので有ればマルゴブルンやバイケン、シュロスヨハニスベルグが良いと思います。
こちらの価格は大体ですが7000円以上で畑自体が小さいので生産量自体が少ないのです。
この地域のアイスワイン・ベーレンアウスレーゼは最低ラインで5万円程度で
地域の公売オークションで30万円程度の値段が付くことも良く有ります。
かなり高いのは事実ですが、それなりに納得出来る価格帯と考えています。
お勧め出来るのは3500円程度のKabクラスだとかなり安心して飲むことが出来ます。
この地域で1000円程度のワインを見つけることは非常に困難です。