モーゼル・ザール・ルーヴァー地域

(現在のラベル表示はMOSELとなりました・2007年以降の産出品はこの表示が義務となります)

この地域は3つ川の名前から来ていて、本来はそれぞれ別の地域になるのですが
ザール川、ルーヴァー川がモーゼル川の上流河川になるため1つの地域に呼称上まとめられています。
生産高は各地域の中で4番目ですが収量制限をしているため高品質なワインを創り出す醸造所が多くあります。
また「カッツ」などで親しみやすいワインもあり比較的にこの地域のワインは店頭などで良く見かけることが出来ます。
ここでは、ライン川とモーゼル川の合流点ゴブレンツから上流のトリアー〜ザールブルグまでに点在する
良い醸造所を中心にラベルや写真を交えて紹介します。


コブレンツからツェルまで

ゴブレンツからツェルにかけてはあまりいいワインを産出する畑が無いのですが、
ブレムという村にカルモント(押し入り泥棒)と言う畑が有り
この畑の傾斜角度は実に76度にも達しドイツナンバー1の急斜面畑となっています。

ツェル
は皆さんがご存じのツェラー・シュバルツェ・カッツを産出する中心地でありますが
このあたり一帯で獲れた物は殆どがこの名前で輸出されてしまうため、
モーゼルを飲み始めるときの入り口のワインみたいになっています。
品質は良い物から複数の葡萄の混醸品まで色々ありますので見分ける必要が有ります。

ツェラー・シュバルツェカッツ
(ツェル村の黒猫畑)

リースリングだけのワイン        混醸ワイン

 購入価格どちらも1200円(1999年秋当時)

 

リースリング種
粒は非常に小粒で皮の部分にかなりの甘みと香りが有ります。ドイツの固有品種


  ツェルからベルンカステルまで

ツェルからトラウベントラウバッハをぬけて次の町はクレーフがありこの町のワインも安価で飲みやすいものが出ています。
代表銘柄はクレーファー・ナックトアルシュ
 
 ワインを盗み飲みした子供がおしりをたたかれているラベルで売られています。価格は1000円前後が多いようです。

クレーフから中部モーゼルのワイン黄金地帯へ入っていきます。
まず最初は
エルデントレプヒェンの畑から獲れるワインは一級品です。
しかしその次の畑
プレラートは畑面積こそ小さいのですが中部モーゼルの中で5本の指に入るほど高品質で
かつ長命で偉大なワインを世に送り出しています。
ここの所有者は元々ベレス一族が全部持っていたのですが十数年前にローゼンが一部を買い取り
試行錯誤の結果とてもクリーンな味わいの中に非常に奥行きのあるワインが出来、世界中から絶大な評価を得ています。
今は次男であるエルンスト・ローゼンが父からの仕事を引き継いでさらなる研鑽を重ねています。
対岸の
ユルツィヒにも銘醸畑ヴェルツガルテンがあり
モーゼルでここだけの特殊な土壌から生み出されるミネラル香の非常に富んだ物を産出します。

プレラートの畑の全景写真 崖の下の畑がプレラート、その周辺がトレプヒェン

       

エルデナー・プレラート 1990年      ユルツィンガー・ヴェルツガルテン 1975年
共にベレス一族のもの    当時 7000円    75年は超当たり年で非常に高かった。 現在入手不能
プレラートの
クリストフェレス・ベレス94年にワイン醸造を辞めています。
75年のベレスの醸造所は現在は元ケラーマイスターの
カール・エルベスが引き継いでいます。 

http://www.weingut-karlerbes.de/


ドクター・ローセン醸造所

元ハイネン・ベレス醸造所を現在のエルンスト・ローゼンの父親が買い取った醸造所で70年代に買い取られています。
当初はベレス一族の味筋でふっくら感の有る柔らかさが特徴でしたが、
現当主のエルンストに変わって非常にクリーン・シャープ感の有るワインに変貌しました。
これはヨーロッパ人よりもアメリカ人が好む味筋の様です。

 

ローセン博士家 ヴェレーナー・ゾンネンヴァー 95年 アウスレーゼ・ゴルトカプセル

これを試飲したときは驚きました。酸、甘味共にずばぬけていて大変濃いのですがアフターの切れもまた
大変良くゾンネンウーア畑の独特の洗練されている酸味の特徴も良く出ていました。
この醸造所の特徴はシャープでクリアー感が強いと思います。

ローセン博士家 は現在の当主の父親が70年代にベレス一族から畑を買ってからが始まりで比較的新しい醸造所です。
ですので伝統的な作り方に対する固定観念が無かったためにクリアーでシャープな味筋を作れたとも言えます。

  

ローセン博士家宅と現当主 エルンスト・ローゼン(97年当時の写真です)

つい最近のTV取材の出演でかなり太ったエルンストになっています。


カール・エルベス家

私がいつも常用ワインとしているもの ツィルティンガー・ヒンメルライヒ
価格の割に酸味と甘味のバランスが取れておりかなりの買い得感があります。
モーゼルワインの実力はこのワインを飲めばわかっていただけると思います。
 

カール・エルベス家はアーデルマン・クリストフェル・ベレス家のケラーマイスターを
務めるかたわら1975年にベレス一族より醸造所と畑を買い自分としてのワイン造り
をしています。従って上のラベルは自分のワインとして出した最初のワインということになります。

ユルツィンガー・ヴェルツガルテン
ユルツィヒ村から西へと川沿いの急斜面の畑でこの部分のみスレート岩+赤い火山岩が混ざっており、
独特の強いミネラル香(というよりはレモンやミントといった柑橘系+薬草の香り)がします。上部よりも下部に有る畑のもの
から出てくるワインが落ち着きがあり上部に行くほど鋭い酸を出すようになります。これは川の水に拠る保温効果で
葡萄の熟成度が変わっていく事によるものです。


ヨハン・ヨセフ・プリュム醸造所

 

        ヨハン・ヨセフ・プリュム ヴェレーナー・ゾンネンヴァー91年カビネットと畑の写真
        私が愛飲する醸造所の中での超銘醸畑からのカビネット、この醸造所の葡萄は通常の収穫より
遅い収穫を基本として糖度をギリギリまで上げるという方法を採っているため
葡萄の果実味がすばらしい上品なワインに仕上がっているが、
酸味はかなり強烈で栓を抜いたときに炭酸の気泡が上がってくるほど強い物ですが
果実味や甘味とのバランスが非常に高いレベルで保たれている。
カビネットでも最低10年以上出来れば15年前後寝かせてから飲むとこのワインの真価がわかります。
          ちなみにこの91年カビネットは私達の結婚式場に
6ケースを持ち込んでみんなで飲んだワインです。   

現在この醸造所のワインは各年の各クラスを併せて500本程度所有しています。

ヴェレーナー・ゾンネンウーア
ゾンネンウーア自体の畑はツィルティンゲン〜ヴェーレンまで続いておりますが、ツィルティンゲン側に行くほど酸の鋭さがあり
ヴェーレン村の前では穏やかさが出てきます。もちろん最良部分はヴェーレン村の前に有る日時計の崖周辺でこの崖の直下が
フィロキセラ禍以前の木が有ります。間違いなくドイツ内でも特級品に属します。
ここの特徴は酸の切れがとても良く洗練されている事でこれに果実味が加わって余韻が長く続きます。

この醸造所で良かった物

1982年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1983年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1988年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1989年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1990年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1995年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
1999年 ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼゴルトカプセル
これ以降はまだ未開封です。

中部モーゼルの黄金地帯

モーゼル地域でも特に超一流の物が出てくるのはエルデンからピースポートまででこの中にはものすごい値段を付けている物が多くあり
そのほとんどは長熟します。
この黄金地帯で作られているリースリング種のホッホゲベックス(QbAクラス)が一番特徴がでていると思います。
ピースポートはゴルトトレプヒェンという畑が一番よい物を出すのですが全体で120ha以上有りよい物はこの中の40ha程度です。
全体印象ではエルデン村からヴェーレン村くらいまではやや鋭い酸が特徴でこの頂点がドクトール畑でそこから上流に行くにつれて
酸が少しずつ穏やかな表情を見せる様になってきます。

ドクター・ターニッシュ醸造所

      ターニッシュ博士家 ベルンカステラー・ドクトール 90年シュペトレーゼとドクトールの畑
  比較的に入手は容易ですがドイツでは最も高価なワインとして知られています。
        味わいは非常にフルーティーで果実酸の心地よさと複雑なミネラル香と味で懐の深さは桁違いです。

このドクトール畑のTBAは過去にものすごい価格が付いた事が有ります。
毎年10月にマインツで行われたウニカーテワインオークションで89年の物が1本約38万円で落札されたことが有ります。

(当然ですが、現地での落札価格の当時の換算レートに拠るマルク建てです、このワインは日本に入った事が無い様に思います)
 

ベルンカステラー・ドクトール
この畑は紛れもなくドイツワインの最高峰の地位を持っていると思います。
酸の切れが鋭く果実味はリースリングの特徴の全てを出し切りアルコールの骨格がほどよい太さでこの3つのバランスが
ほぼ黄金比と言えるくらいのレベルです。真骨頂はSpt以上でゴルトカプセルで有れば通常のアウスレーゼの品質を遙かに
凌ぎます。上記画像のアイスワインはターニッシュから取り寄せた物で日本国内には数十本しか入っていないと思います。
(聞いた話では全生産量が60リットル程度で90リットル位の専用の木樽で数週間の醸造をしたらしい)
70年代にドクトール畑は現在の3倍以上あり境界も不明確だったので呼称統制の裁判が有って最終的に現在の面積とした上で
認定外になった畑はドクトール・アム・ドイッチェレンベルクという呼称を新たに作りました。(バートステューベの中です)


べルンカステルからトリアーまで

エルデンからベルンカステル〜ピースポート〜トリアーまで続く一帯は超銘醸畑が点在するモーゼルの黄金の丘
になっています。ベルンカステルの真後ろには
ドクトールの畑がそびえています。その廻りはドイツで最良の集合畑
である
バートステューベがありその奥側にはグラーベンがありどれも特別なワインになります。
ベルンカステルから少し行くとプラウネベルグやケステンの村々があり
ユッファーやユッファー・ゾンネンウーア、カマー
パオリンスホーフベルグ、パオリンスベルグなどの一流畑で超ド級のワインが造られています。
このページのユッファー・ゾンネンウーアはここから取りました。

さらに少し行くと有名なピースポート村があり、酸味をやさしく包み込むような甘味のワインを産出します。
ここの銘醸畑はゴルトトレプヒェンで色々な醸造所から発売されているので色々飲み比べてみるのも良い経
験となるでしょう。

          ケステンの村             パオリンスベルグの畑からモーゼル川を望


ケステン村ワイン畑のディオラマ

画像をクリックすると製作中のページへジャンプします。

現地風景を相当ディフォルメ表現していますが、基本的な地形はほぼそのまま再現しています。
(実距離500メートルを約60センチにまとめています)
唯一違う部分は建物左側のワイン絞り機で実際はここも畑です。


フリッツ・ハーク家

プラウネベルガー・ユッフッアーゾンネンウーア
90年  aus−goldcapsel

年産7000ケース程しか出荷されない個人醸造家ですが非常に高い評価を得ています。
個々のワインの個性を重視した作り方で樽が違えば全然違った個性を発揮し、酸味が他の醸造所
と比べても明らかに違うやさしさとエレガントさを兼ね備えてしかも大変複雑で奥行きのあるワイン
に仕上がっています。

ゴルトカプセルは良い年の特に選りすぐられた樽の物からでいわゆる秘蔵ワインの範疇に入る物です。
出来が良ければ3フーダー位は作られています。

ユッフッアーゾンネンウーアの畑
(Drターニッシュの列を撮影されています。この右側がフリッツ・ハークの列)

私が主宰しています模型工房・ユッフッアーゾンネンウーアはこの畑名から頂いています。
このワインの様に繊細な様に思えますが、熟成させても実はかなりの骨格を持っている奥行きの有る
このワインの様になりたいと願っています。

ブラウネベルガー・ユッファーゾンネンウーア
モーゼル川南面にある細長い畑で各醸造所に拠ってかなり個性が違うとても繊細な面が有ります。
全体的に細い骨格ですが、果実味が葡萄というよりはリンゴの感覚があります。上級の物はふくよか感が有り
細い骨格の上にほどよい肉付きが有るように思えます。元女子修道院の畑で隣の畑はユッファーで良く似ています。
(ユッファーの方が果実味・酸共にもう少しおとなしくした感じです)


ヴィリ・ハーク家


元々は同じ家系で畑も隣同士を所有するなど非常に近い間柄ですがワインは全く違った物に仕上がっています。
こちらのワインはどちらかというとクラッシックな味わいです。
甘味を非常に良く濃く感じられるので酸味より甘味という方はこちらがいいかも・・・

 

プラウネベルガー・ユッフッアーゾンネンヴァー  97年  spt 


ヘリバート・ケルペン醸造所
世界うるるん滞在記でテレビ紹介された醸造所
全くの家族経営で数ヘクタールしか有りませんが、テレビのおかげか日本では割と人気が有ります。
主力はヴェレーナー・ゾンネンウーアとグラッヒャー・ヒンメルライヒでどちらかと言うと甘めでアルコールも柔らかめです。
このタイプは女性には大人気の風味を持っていてアイスワイン等のチャレンジも毎年しています。


99年Spt1スターを開封
2014年のクリスマスに15年経過という事で開封しました。
0日の昼頃にデカンタージュして24日の夜に半分・25日に残りを飲みました。
まだかなり若い感覚です。熟成はかなりかかっていますがまだまだ発展途上に有ります。(色調は濃い黄色で少しだけオレンジがかかっている)
ケルペンは☆が付くと通常より良い物になり大体ですが1クラス分上と考えた方が良いと思います。
ちなみにゴルトカプセルクラスが3スターに当たると思います。
クリスマスケーキにデメルのチョコレートケーキと合わせたのですが全然負けていないばかりか酸味が程よいくらいです。


フリードリッヒ・ヴィルヘルム ギムナジウム
(高等学校)

この醸造所(学校)は所有しているワイン畑から作られるワインを収益源として運営されている学校で所有する畑はモーゼル一帯に
約50haも有り一部は1級畑も持っており、産出されるワインもかなりの実力で
ゴーミョーワインガイドにも3つ房が付くほどです。
味わいはクラシカルな作り方でリースリング種が多い様です。良い物は長寿性も持ち合わせていて約20年位で熟成トップに来ます。



ケッセルシュダット伯爵家醸造所

グラーフ・ケッセルシュダットはモーゼルでは民間で一番の規模を持つ醸造所で所有面積は80haを超えています。
単一ではピースポーター・ゴルトトレプヒェンの最良部分を持っています。(当然一番良い物です)
その他にシャルツホーフベルガーも所有していて値段も一般的に高めですが、それなりの価値は有ると思います。
ピースポーター・ゴルトトレプヒェンは通常では一般的ワインの代表みたいな部分が有りますが、
ここのワインは長熟に耐え当方所有の88年でもまだかなりの若さが有ります。
また醸造所の中にはホテルとレストランを併設していますので飲んで泊まっても良いところです。
またシャルツホーフベルガーの畑も良い部分で所有しています。

ピースポーター・ゴルトトレプヒェン
畑名は黄金の滴でモーゼルでは最大面積を誇ります(約130ヘクタール)
これだけ畑が広大だと畑名が同一で有ってもワインの良し悪しの差がここまで出てくるかと言うくらい選別が必要になります。
ゴルトトレプヒェンでは最良部分を持っておりここがダントツでトップの味と品質を誇ります。
ここは酸が穏やかで果実味が強いので飲みやすい傾向が有ります。


フォン・ヘーベル醸造所

非常に伝統的な作り方をしている醸造所です。
単独所有の畑も有り(画像のオーバーエンメラー・ヒユッテ)規模はなかなかでシャルツホーフベルガーの畑も所有しています。
酸引きをして醸造していますので全体的に穏やかなワインとなっています。


辞めてしまった醸造所

リヒト・ベルクワイラー 醸造所

90年始めにワイン造りを高齢のため辞めてしまいました。
ベルクワイラー女史はJJプリュム家といとこ関係で有り
(現当主のマンフレートのおばさんに当たります)
もう片方はクリストフェレス・ベレス家の親戚であるため作り方はこの双方の良い部分の特徴を持ち合わせていました。

一時期ですが、常飲用のワインとしてこの醸造所の物を買っていました。

この醸造所での最高の畑は Juffer で90年のゴルトカプセルを数本が熟成待ちの状態です。


この地方のワインの価格帯の目安
中部モーゼルはベルンカステル周辺がやはり良い畑が集中していて、かなり高めです。
例として ドクトール畑のDrターニッシュ醸造所で Kab 5000円〜 Spt  8000円〜 Aus 12000円〜 です。
ゴルトカプセルの場合はさらに高くなります。
ターニッシュ醸造所は出力が2系統有り自家販売分と代理店販売分があり作り方がかなり違っています。
自家販売分は伝統的なクラッシックな味筋で酸味が強烈です、代理店用は酸抜きをしてかなり甘く柔らかく作られています。
ラベルも微妙に違うので並べてみるとなるほどという事になります。

この地方もかなり醸造所としてのランク付けが実在しておりゴーミョーワインガイド等で格付けをされており価格はそれによって
醸造所としての基礎価格という物が有ります。それよりも安い値段を見た時には買い時かも知れません。
平均的な物よりも少し上でQbAで1500〜2000円位の物を買うと外れが極端に少なくなります。

逆に安い所ではピースポーターでゴルトトレプヒェン以外ならかなり安くリースリングでも1000円前後(QbA)となっています。
ミヘルスベルクは集合畑の名称でリースリングで無ければ300円台という物も有ります。

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