モーゼル・ザール・ルーヴァー地域 パート2
ザール・ルーヴァー川流域

トリール市はザール地方の中心地でローマ時代はここに行政府が置かれていました。
現在でも国境の町でもあり軍事的には第一次大戦以前から要塞地域となっており探せば遺構が見られます。(トリアー要塞)
またモーゼル・ザール・ルーヴァー地域に於けるワイン用葡萄栽培の発祥地でもあります。
ここにはローマ時代の遺跡が多く残されており観光地にもなっています。
トリアーから少し下流の地点でルーヴァー川が、少し上流の地点でザール川に分かれます。
モーゼル川はここからさらにフランスへとさかのぼっていきますがこれより上流の地域のワイン畑からはあまりにも酸味の強すぎる葡萄しか獲れないためワイン用としてではなくゼクト(シャンパーニュと同じ発砲酒)用として造られているものが多いようです。
ゼクト用としてはローマ時代からの品種である「エルプリンク種」がこの地域でのみ栽培されています。

トリアー市周辺の醸造所

トリアー慈善協会

 

ゼーリーガー・シュロス ザールフェイザー       グラッヒャー・ヒンメルライヒ
  シュロスベルグ 1989年 spt           1990年    spt

 ラベルに守護聖人であるザンクト・ヤコブの絵が描かれているのが目印になります。
 名前の通りワインの売り上げやその他の事業によって施設施療院やその他の福祉事業を営んでいます。
 ワイン畑は寄進によって所有したものであちこちに色々な畑を持っており上のラベルのシュロス ザールフェイザー
 シュロスベルグ
の畑はこの協会の単独所有でこの醸造所の特徴が一番出でいるワインでもあります。
 味筋としては非常にクラシカルで若いうちに飲むと酸の荒々しさを感じますが
10〜20年を経て落ち着き完成されたワインになります。


トリアー国立醸造所

 

オックフェナー・ボックシュタイン       ゼーリーガー・フォーゲルザンク
1989年 aus             1982年    kab


 ラベルにある鷲のマークは国立(ラインラントプファルツ州立)醸造所に必ず描かれています。
 この地域の葡萄栽培とワイン醸造技術の向上を目的として運営されています。
 ここの地下倉庫はローマ時代からのものでドイツ最古のワインケラーです。
 ここのワインは上記のトリアー慈善協会よりは酸味が柔らかく落ち着いており全体的に飲みやすいものが
 多くなっています。その分熟成しても畑の特徴に乏しいなどの面も持ち合わせてもいます。
 価格はどちらかというと少し安く買える傾向にあります。


オーテ・グラーベン醸造所

 トリアー市からザール川を少し上ったところにあるカンツェムを中心として畑を所有しています。
 1960年頃まではエゴン・ミューラー家と並ぶ程の名醸造所でしたが70年代に評価が下がってしまい
 近年まで経営者(ラインガウのゲオルク・ブロイヤー醸造所)が変わるまで日本にはあまりお目見えしませんでしたが
90年代後半より再び良い物をつくる様になってきました。
カンツェマー・アールテンベルグ
はこの醸造所の中心となる畑です。
 クラシックな造りに徹しているためにワイン自体少し堅い感じがしますが十分に開いた状態ではとても良いもの
 を感じさせてくれます。熟成はどちらかと言えば遅い方で頂点に立つまでには15〜20年位ですが
それ以後は急速に劣化する傾向が有るようです。



アイル葡萄生産者協同組合

アイラー・クップ 1990年  Aus

 正式名称はアイル葡萄生産者共同組合になります。通常ここでは日常に飲むワインを多数生産していますが
 値段の割りに非常に傑出した品質を誇っていてモーゼル川下りの船の中で食事時に出されるワインはここの
 物が多いのです。日常以外のワインも品質は折り紙付きでその中でもこのアイラー・クップ(頂上)はこの
 農協の中では最高位に位置します。若飲みしてしまうにはもったいない物ですのでこちらのワインもぜひ熟成
 させてから召し上がれる方が良いかと存じます。

追記 2000年初頭にこの組合は葡萄農家の減少で解散してしまいました。
非常に良い物を産出していたので残念です。


エゴン・ミューラー家

 全世界的に有名なシャルツホーフベルガー最優良の大部分を持ちその中の葡萄の樹齢は140年を越えている
 この葡萄から作るゴルトカプセルはドイツワインを飲むものにとっては憧れの1本となる。
 値段も非常に高いのでなかなか口にすることは無いが長熟に耐えられるこのワインはぜひ飲んでみたい、
また熟成するのを楽しみにしながら取っておくワインでもあります。(多分最高のカビネットワイン)
 家には89年のゴルトカプセル87年のアイスワインが有り私が還暦の頃に飲んでみたいものです。



アウスレーゼ・ゴルトカプセルは醸造所の後ろの数列のぶどうの木から作られます。この木は全てフィロキセラ禍以前の木で1本の木に2〜3房までしか
付けさせないドイツワイン究極の方法で作られています。(約2房で1本になります)
熟成を待つのには4〜50年程度で頂点に達して最終寿命は120年前後と思われます。


カール・フォン・シューベルト家

マクシミーン・グリューンホイサー・アブツベルグ 89年 spt

ルーヴァー地域トップこの醸造所もモーゼル地方の3指の内に数えられるほど有名です。
特にマクシミーン・グリューンホイザーの畑群(アブツベルク・ヘレンベルク)はこの醸造所の単独所有で
驚くほど長熟で80年代初期のシュペトレーゼでもまだ若く感じられます。
この醸造所の物も83年のアイスワインとトロッケンベーレン
89年のベーレンなどを楽しみに待っている状態です。

2009年の初頭に久しぶりに88年SPTのヘレンベルクを飲んでみました。
かなり熟成が進んでいて15年前は濃い黄色だったものがオレンジ色に変化しておりましたが、劣化は無く酸味もかなり落ち着いてはいるもののまだ活きは非常に良い物でした。開封したその日よりも2〜3日目が非常にバランスが取れて
干いちじくとチーズ(ショーム)との相性は良かったと思います。

カルトホイザー・ホーフ醸造所

ドイツワインの中で一番小さいラベルを付けている事でも有名ですが、中身は超一流で、これもどちらかと言えば長熟タイプです。
熟成はごくゆっくり進みアウスレーゼでは25年前後はかかりますがトップ状態が7〜8年程ありその後の枯れゆく時も
ゆっくりと進行していくので独特の枯れ味を見せてくれます。







ザール地方のワインの価格帯の目安
この地域ではエゴン・ミューラーが群を抜いており ノーマルのAusでも2〜4万円前後と超高級です。
次位に来るのはマクシミーンとカルトホイザーホーフ・トリアー慈善協会が続くと思います。
このあたりでもAusが10000円前後とかなり高めです。全体として高めの地域です。
この地域は安い物はどうしても酸が尖ってしまうので出来ればSpt位で4000円くらいの物を狙った方があたりはずれが有りません。
2000円を切ってくると口に合う合わないの話になってしまいます。

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